生活習慣病が引き起こす疾患


 メタボリックシンドロームは、内臓肥満を基礎として、高血圧、脂質異常、肥満、高血糖が重複して、動脈硬化が進行しやすくなる状態で、放置すると心筋梗塞、脳梗塞が起こりやすくなります。さらに、糖尿病では動脈硬化や合併症がより起こりやすくなります。


メタボリックシンドロームが引き起こす疾患

○動脈硬化
 動脈の層が厚くなったり、硬くなったりして弾力性や柔軟性を失なった状態を動脈硬化といいます。動脈硬化は初期の状態では自覚症状がなく進行し、心臓病や脳血管障害などいろいろな病気を起こす要因となります。
 動脈硬化の程度は、食事、運動、喫煙、飲酒、ストレスなどの生活習慣の違いが大きく影響するといわれていましたが、最近になって遺伝子の関与が大きいことがわかってきました。これらの遺伝因子に高血圧、脂質異常、肥満、糖尿病などの"メタボリックシンドローム"が加わると、さらに動脈硬化の進展を促進します。

○心筋梗塞
 心臓の筋肉に酸素と栄養を運ぶ冠動脈の内側が動脈硬化などによって狭くなり、血液が充分に流れなくなると心筋は酸欠状態を起こします。さらに、血管が完全にふさがってしまうと、その部分の心筋の組織は壊死し激しい心臓発作を起こします。これが心筋梗塞です。
 発作時の胸の痛みは、締めつけ感、圧迫感、灼熱感とともに、強烈な痛みのために、冷や汗、呼吸困難、嘔吐などの症状を伴い、意識を失ってしまう場合もあります。
 心筋梗塞の原因のほとんどは、冠動脈の硬化によります。これは急激におきるものではなく、脂質異常、高血圧、糖尿病、肥満、喫煙、運動不足、家族歴、高齢、高尿酸症などの危険因子が作用し少しずつ進行していきます。

○脳梗塞
 血液のかたまりなどが、脳の血管に詰まってしまったために、その周囲の脳に酸素や栄養が届かなくなり、脳の組織が働かなくなったり、壊死してしまう状態を脳梗塞といい、夜間に起きやすい傾向があります。
 おもな原因は、高血圧、動脈硬化、心房細動、糖尿病です。高血圧は、血管に負担がかかり動脈硬化を促進し血管が詰まりやすく、脳梗塞を起こしやすい状態がつくられます。からだの片側に麻痺やしびれを感じる、手足の感覚が鈍る、ものがつかめなくなる、言葉がしゃべれなくなるといった症状がみられるようになります。また、糖尿病は高血圧や動脈硬化を促進するため注意が必要です。
 脳梗塞の中でも、予測が難しい、高血圧、糖尿病、動脈硬化で起こりやすいラクナ梗塞、アテローム血栓性脳梗塞の発症リスクを判定します。

糖尿病が引き起こす疾患

○糖尿病腎症
 糖尿病網膜症、糖尿病神経症とともに糖尿病の重大な3大合併症のうちの1つです。糖尿病腎症は糖尿病が始まった頃から進行しますが、最初の頃は症状はありません。しかし約10年程度経過した頃から持続性の蛋白尿が出現し、さらに蛋白尿が高度になると全身のむくみや高血圧が出現します。さらに経過すると腎臓の機能が低下し、透析療法が必要になる病気です。

○糖尿病網膜症
 糖尿病の三大合併症(他は腎症と神経障害)の1つで、発症頻度が高いにもかかわらず自覚症状のないままに進行して、失明に至ることもある重大な病気です。日本では、成人の失明原因の第1位が糖尿病網膜症です。
 糖尿病で高血糖状態が続くと、全身の細い血管に異常が起こり、毛細血管瘤や血管閉塞が生じて血液の流れが滞ります。圧力に弱くなった血管壁から血液中の成分がもれ出したり、破綻して出血します。その範囲が広くなると、もろい新生血管ができ、さらに出血を繰り返します。